「インスタで見た“月1万円の小顔プラン”に惹かれてカウンセリングに行ったら、50万円の契約を勧められて断れずサインしてしまった」
「効果がまったく感じられず、返金を求めたら“返金できない契約です”と突っぱねられた」
——こうした美容医療や医療エステに関する高額契約トラブルの相談が、年々増加しています。
実際に国民生活センターには、美容医療に関連する相談が2022年度だけで5,100件以上寄せられており、その多くが「高額な契約」「解約できない」「返金されない」といった内容です(※出典:独立行政法人 国民生活センター|PIO-NETデータベース)。
広告では安く見えても、現場では高額なパッケージ契約や強引な勧誘が行われるケースも少なくありません。
しかも契約書をよく読まずにその場でクレジットカード決済してしまった…という方も多く、後から後悔する方が後を絶たないのが現状です。
本記事では、こうした美容医療に関する高額請求・契約トラブルについて、
- 契約後でも解約・返金は可能なのか?
- どうすれば返金に応じてもらえるのか?
- 頼れる相談窓口や法律的な対処法は?
といった、今まさに悩んでいる方のための情報をわかりやすく解説します。
泣き寝入りする前に、まずは正しい知識と対処法を知ることが第一歩です。
自分で動ける方法もあれば、弁護士や消費生活センターといった公的機関に相談する道もあります。
一人で悩まず、まずはできるところから行動してみましょう。
美容医療で高額契約トラブルが起こる典型パターン
美容医療や医療エステに関するトラブルの多くは、特定の典型パターンに類型されます。
中でもよく見られるのが、「広告と実際の金額がまったく違った」「期待した効果が出ずに解約したいのに拒否された」「勧誘が強引で断れなかった」といったケースです。
ここでは、特に相談件数の多い代表的な3つの事例を紹介します。
該当するケースがあれば、後述する「解約方法」「返金交渉」の章もぜひ参考にしてください。
広告と違う高額なプランを契約させられた
SNSやWeb広告で「初回1,000円」「月額1万円から」といった安価な価格が目立つ美容医療のキャンペーン。
しかし実際にカウンセリングに行ってみると、驚くほど高額なパッケージプラン(例:60万円以上)を提示され、そのまま契約させられたという相談が多数寄せられています。
たとえば、**「小顔矯正初回980円」**という広告を見て興味を持ち、軽い気持ちで予約したところ、カウンセリングでは「その効果を出すには継続的な施術が必要」として高額な年間コースを勧められるケースが典型です。
国民生活センターもこのような**「広告と実態の乖離」**について注意喚起を行っており、「安い価格で関心を引き、契約時に高額なコースを提案する手法」に対しては警戒するよう呼びかけています(※出典:国民生活センター「美容医療サービスの広告に関するトラブル」)。
効果がなくても解約に応じない医療エステ
美容医療は効果の感じ方に個人差があるとはいえ、**「数回施術を受けたがまったく変化を感じない」**という声は少なくありません。そのような不満を抱えて解約を申し出た際に、「契約書に返金不可と書いてある」「施術が始まっているので返金はできない」と拒否されることがあります。
中には、「あと〇回施術すれば効果が出ますよ」と引き止められ、ズルズルと解約できないまま費用だけがかさむというパターンも。
そもそも医療エステや美容クリニックの契約にはクーリングオフや中途解約の対象外となる場合もあり、返金を求めるには法律の知識や交渉術が必要になることもあります。
実際、契約書の中に「効果を保証しない」などの文言があることも多く、それが返金を難しくする原因となっています。
威圧的な勧誘・その場でクレジット決済
カウンセリングの場では、勧誘が非常に強引なケースも少なくありません。たとえば、以下のようなトークスクリプトが用いられることがあります:
- 「今日契約していただければ特別価格にできます」
- 「このタイミングを逃すと次は半年後です」
- 「このプランを受けないと効果は出ません」
このような“今決めさせる”圧力によって冷静な判断力を奪われ、その場で契約・クレジット決済してしまう人も多いのです。特に施術のビフォーアフターの写真を見せられたり、「あなたにはこのプランが絶対必要です」と言われたりすると、心理的に断りづらくなります。
加えて、店舗によってはクレジットカードの分割決済や医療ローンの契約書をその場で書かされることもあり、消費者は「後戻りできない」と思い込んでしまうのです。
美容施術の解約方法|契約後でもできる?
高額な契約をしてしまった後、「やっぱりやめたい」「返金してほしい」と思ったとき、契約を解除できるのかどうかは非常に重要な問題です。
美容医療や医療エステの契約は、契約内容や施術状況によって対応が異なるため、まずは自分の契約がどのような条件になっているのかを冷静に把握することが第一歩です。
この章では、解約に向けて「何を確認すべきか」「どんな制度が使えるのか」「具体的な手続き方法」について、順を追って解説します。
まず確認すべきは「契約書」と「支払い方法」
解約を検討する際に最初に行うべきことは、契約書や重要事項説明書をしっかり確認することです。ここに、解約の可否や返金に関する条項が明記されていることが多く、以下のようなポイントに注目する必要があります。
チェックすべき主な項目
- 契約日と施術開始日:クーリングオフや中途解約の起算点に関わります
- 解約条項の有無:キャンセルのタイミング、手数料の有無など
- 支払い方法:クレジット決済か、医療ローンか、一括か分割か
- 提供役務の内容・回数・期間:施術回数や有効期限も大切な情報です
また、支払い方法によってはクレジット会社やローン会社を通じて「抗弁書(こうべんしょ)」を提出し、支払いを一時停止できるケースもあります(詳細は後述)。
この確認作業が、今後の返金交渉や法的対応の基盤となるため、証拠となる書類やデジタル記録(LINEやメールなど)も併せて保管しておきましょう。
クーリングオフ制度が使える場合とは
契約直後であれば、「クーリングオフ制度」を利用して無条件で契約を解除できる可能性があります。
ただし、美容医療の現場ではこの制度がすべてのケースに適用されるわけではありません。どのような条件でクーリングオフが可能かを理解しておきましょう。
クーリングオフが適用される条件(医療エステ・エステサロンの場合)
- 契約金額が5万円以上
- 契約期間が1か月を超える
- 契約日から8日以内(書面での契約が基準)
- 施術が未実施または1回目以内であることが望ましい
これらは、特定商取引法(第48条)に基づく「特定継続的役務提供」に該当する場合に限られます。
医療エステや美容クリニックであっても、民間企業による施術や自由診療が対象であれば、エステサロン同様に適用される可能性があります。
一方で、医師が診療として行う「医療行為」と見なされる場合は、医療法の管轄となり、クーリングオフが適用されないこともあります。
判断が難しい場合は、消費生活センターや専門家に確認するのが安心です。
途中解約の進め方と注意点
クーリングオフの期間を過ぎてしまっていても、「中途解約」という形で契約を終了できる場合があります。
これは、すでに施術が始まっている、または一部サービスを受けた後でも、残りのサービスをキャンセルする権利です。
中途解約時の基本的な考え方
- 未施術分の料金は返金対象になる可能性がある
- すでに受けた施術分やキャンセル料は差し引かれる
- キャンセル料の上限は法律で定められている(エステ等の場合は2万円または契約残額の10%のいずれか低い額)
また、解約の申し出は書面で通知することが推奨されます。
メールよりも内容証明郵便などの記録に残る方法が望ましく、万が一トラブルに発展した際に、証拠として活用できます。
さらに、クレジットカード決済やローン契約をしていた場合は、支払先の会社に対して「抗弁書」を提出することで、業者とのトラブルが解決するまで支払いを一時停止できる制度(割賦販売法 第30条の4)もあります。
契約内容や施術状況によって対応は異なるため、少しでも不安がある場合は早めに専門機関に相談することをおすすめします。
医療エステで返金してもらうには?
「高額な契約をしたけど、効果が感じられない」「数回通ったが全く変化がない」といった理由で返金を希望する人は少なくありません。
しかし、美容施術という性質上、期待通りの結果が出なかったからといって必ずしも返金されるわけではないのが現実です。
このセクションでは、「返金が認められるケース」と「交渉を進める際の注意点」について、法的観点も交えてわかりやすく解説します。
「効果がない」だけで返金はできるのか</h3>
結論から言えば、「効果がなかった」という主観的な理由だけでは、返金を求めることは難しいケースが多いです。
美容医療や医療エステは、そもそも効果の感じ方に個人差があることを前提にサービス提供されているため、契約書や同意書には「効果の保証はしない」という文言が含まれていることが一般的です。
返金が認められやすいケースの一例
- 説明された内容と施術内容・効果に明らかな差異がある
- 事前に十分な説明がされず、重要事項の告知義務違反が認められる
- クーリングオフまたは中途解約の条件に該当し、適切な手続きを行った
- 医師や施術者に明らかな過失(例:傷跡・火傷など)がある
逆に、以下のような場合は返金が難しくなる傾向があります。
返金が難しいケースの例
- 契約書に「返金不可」「効果保証なし」と明記されている
- すでにすべての施術が終了している
- 客観的な被害や違法性が認められない
つまり、主観的な不満だけではなく、法的根拠や契約上の問題点を示す必要があるということです。
返金交渉の方法とやってはいけない対応
返金を求める場合は、感情的にならず、冷静かつ丁寧な姿勢で交渉を進めることが重要です。
同時に、事実関係を裏付ける証拠を残すことが交渉成功のカギとなります。
冷静な返金交渉の進め方
- 契約書・領収書・カウンセリング時の説明内容を整理
- LINEやメールでのやり取り・広告のスクリーンショットなどを保存
- 「いつ、どのように、何を受けたか」を時系列で記録しておく
- まずは事業者側に直接申し出て交渉を試みる
特に、口頭でのやり取りだけで済ませないことが大切です。
書面やメールで「○月○日に契約した施術について、返金を希望します」と明確に伝えることで、証拠が残り、トラブル防止につながります。
やってはいけない対応
- 怒鳴る、脅すなど過激な言動を取る(※名誉毀損・脅迫になるおそれ)
- 感情的に詰め寄って交渉を打ち切られてしまうケースもある
- SNS等での拡散は逆効果になる可能性もある(※法的トラブルに発展)
第三者機関を活用する選択肢
もし相手が話し合いに応じない、返金にまったく取り合ってくれない場合は、第三者機関の力を借りることが有効です。
相談先の一例
- 消費生活センター(全国共通番号:188)
- 日本エステティック機構(JEO):医療エステに関する相談
- 弁護士・司法書士:返金請求や契約無効の法的主張を代行可能
消費者庁や国民生活センターも、近年の美容医療・医療エステのトラブル増加を受けて、早期相談を推奨しています。
美容医療の高額請求で困ったら相談できる機関
「高額な美容医療の契約をしてしまったけれど、解約も返金も難しそうでどうすればいいかわからない…」
そんなとき、ひとりで悩み続けるのではなく、第三者のサポートを受けることが大切です。
ここでは、契約トラブルに巻き込まれた際に頼れる公的機関や専門家について紹介します。
どの窓口も利用は無料または初回相談無料であることが多く、法的知識がなくても気軽に相談できるのが特徴です。
消費生活センターでの相談
まず最初に検討したいのが、全国に設置されている「消費生活センター」への相談です。
消費生活センターは、消費者の立場から中立的なアドバイスをしてくれる行政機関で、解約や返金に関する交渉を業者と仲介してくれることもあります。
消費生活センターの特徴
- 全国共通の電話番号「188(イヤヤ)」で最寄りのセンターにつながる
- 契約書の内容や法律の適用可否を丁寧に教えてくれる
- 業者とのやりとりが困難な場合、あっせんや助言を受けられることもある
実際の相談事例
独立行政法人国民生活センターによれば、美容医療サービスに関する相談は2022年度に5,132件(前年度比約20%増)寄せられており、年々増加傾向にあります。
特に多いのは「広告との内容の乖離」「効果がない」「クレジット契約してしまったが解約できない」といった内容です。
このような事例を数多く扱ってきた専門相談員が在籍しているため、自分のケースが解約・返金に該当するのかを客観的に判断してもらうことができます。
解約や返金を法的にサポートしてくれる司法書士・弁護士
事業者との交渉が難航している、または「返金には一切応じない」と拒否されている場合は、法的な専門家の力を借りることが現実的な解決手段となります。
司法書士・弁護士ができること
- 契約の違法性や取消しの可否を法的に判断
- 内容証明郵便の作成や送付
- 不当な勧誘があった場合、契約の無効主張や損害賠償請求
- 少額訴訟や民事調停などの法的手続きの代理
特に、強引な勧誘や誇大広告、事実と異なる説明による契約であれば、特定商取引法や民法に基づいて契約の取消しや返金請求を行うことが可能です。
全国の専門家を探すには?
- 日本司法書士会連合会|司法書士検索ページ
https://www.shiho-shoshi.or.jp/ - 日本弁護士連合会|弁護士検索「ひまわりサーチ」
https://www.bengoshikai.jp/
また、法テラス(日本司法支援センター)を通じて、収入に応じた無料法律相談や費用立替制度を利用することもできます。
トラブルを抱えたとき、自分だけで何とかしようとせず、専門機関に早めに相談することが解決の第一歩です。
とくに高額な契約や精神的プレッシャーの強い勧誘が絡む場合は、専門家に相談することで安心感と交渉力を得ることができます。
次章では、こうしたトラブルを未然に防ぐために、契約前に確認しておくべきポイントをご紹介します。
美容医療トラブルを防ぐために契約前にできること
美容医療や医療エステのトラブルは、契約前のちょっとした判断ミスが引き金になることも多くあります。
「広告を見て気軽に行ったら高額契約を迫られた」「断りづらい雰囲気に流されてしまった」という声は後を絶ちません。
ですが、事前に気をつけるべきポイントを知っていれば、こうしたトラブルは未然に防ぐことができます。
ここでは、契約前にぜひ確認しておきたい注意点や、カウンセリング時に身を守る方法をご紹介します。
安易に信じてはいけない広告表現のチェックポイント
美容医療や医療エステの広告には、「今だけ限定!」「初回無料!」「月額1万円〜」といった魅力的な文言が並んでいますが、こうした表現の多くには注意が必要です。
たとえば、「初回無料」と書かれていても、実際には2回目以降の高額なパッケージ契約が前提になっているケースや、「月額1万円」と表示されていても、総額では50万円以上のローン契約を組まされることもあります。
特に注意すべき広告表現の例
- 「今だけ」「限定○名」:実際には常に提示されている常套句
- 「月額◯円から」:月々の支払いだけを強調し、総額を明示しない
- 「効果保証」「全額返金」:条件が非常に厳しく、実際には適用されないことが多い
- 「モニター価格」:申込後に通常価格を提示され、モニター対象外とされる場合も
また、景品表示法や医療広告ガイドラインに違反するような過剰な表現も散見されます。
「ビフォーアフターの写真」や「絶対に効果があります」といった断定的な表現には法的な制限があるため、広告と実際のサービス内容が異なる可能性があることを常に念頭に置いておくことが大切です。
カウンセリングで契約を迫られたときの対処法
カウンセリングに行くと、丁寧な説明や施術プランの提案を受けるだけでなく、その場で契約を迫られることも珍しくありません。
特に「今日契約すれば割引になりますよ」「この場で決めてもらわないとこの価格は無理です」といった**“今決めさせる”圧力**には注意が必要です。
トラブルを防ぐ3つの具体的対処法
- 「一旦持ち帰って検討します」と伝える勇気
その場で決断する必要はまったくありません。帰宅して冷静に比較検討しましょう。 - すぐにサインや決済をしない
契約書に目を通し、その場で署名しないこと。内容をよく理解し、納得できるまで保留するのが鉄則です。 - 録音・記録を残しておく
強引な勧誘や不適切な説明があった場合に備え、スマホで会話を録音しておくのも一つの方法です。これは後の返金交渉や消費者センターへの相談時に重要な証拠になります。
カウンセリングは「無料」とされていても、実際はその場で高額契約を結ばせる営業活動が目的であることが少なくありません。
「少しでも違和感がある」「高額すぎる」と感じたら、その場では絶対に契約せず、一度立ち止まって考えることがトラブル回避につながります。
【まとめ】高額契約トラブルは泣き寝入りしなくていい。冷静に対処を
美容医療や医療エステに関する高額契約のトラブルは、誰にでも起こり得る問題です。
インターネット広告やSNSで「初回無料」「月1万円から」など魅力的に見えるプランでも、実際には数十万円単位のパッケージ契約を勧められ、その場で断れずに契約してしまう方も少なくありません。
しかし、たとえ契約してしまっていても「もう遅い」とあきらめる必要はありません。まずは契約書と支払い方法を確認し、クーリングオフや中途解約の可能性がないかを整理することが第一歩です。
そして、返金を希望する場合は冷静に交渉を進めるとともに、契約時の説明内容や広告のスクリーンショット、LINEなどの記録をしっかり残すことが重要です。もし自分だけでの対応が難しい場合には、消費生活センター(188)や法テラス、司法書士・弁護士といった第三者機関の力を借りることも有効な選択肢です。
同じように悩んでいる人は多く、実際に国民生活センターには美容医療に関する年間5,000件以上の相談が寄せられています。
あなたの悩みも、正しい知識と行動、そして必要な支援を受けることで解決への道が開けるはずです。一人で抱え込まず、まずはできることから始めてみましょう。
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